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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

見えるもの

「アオハルスタンド 福島県立桜堂高校野球部の誓い」(集英社文庫)

パーソナルポリティカル

シナリオ・センター代表の小林です。昨日は、靖国神社の標本木に6輪咲き、東京の桜の開花宣言が行われました。
今日も暖かなお日和なので、今週はどんどん咲き始めるのでしょうね。
若い頃は桜ってイマイチ興味がなかったのですが、歳をとったせいか春が待ち遠しく、桜の花に心が浮き立つ自分がいることに驚きます。

ウキウキしてニュースを見ていたら、今日宮崎が山火事になっていました。
大船渡が鎮火したと思ったら今治の山火事、こちらも延焼を続けていて・・・。地球全体が乾燥しているということなのでしょうか。
皆様がご無事でいられることを祈るばかりです。

これだけ色々災害が起こっているのに、お上は企業献金の攻防戦に明け暮れています。
お上は今やるべきことがなにかをまったくわかっていない。ま、自分達の懐以外には全く興味がないのでしょう。
でも、企業献金がなければやっていけないと必死に思っているなら、お金がなくて食事もままにならない子どもたちと同じ感覚ですから、子どもたちの気持ちに添えると思うのですが、そこには、全然いかないのですね。
自分の半径5メートルくらいしか視野のない人たちがお上だというのは、私たちは本当の不幸です。
すべての下々はもっと怒るべきだと思います。

先日終了したTBSのドラマ「御上先生」では、「パーソナル・ポリティカル」という言葉をだして話題になっていました。
「個人的なことは政治的なこと」という意味ですが私たちが日常で感じることは個人の性格や能力の問題ではなく、社会全体の仕組みやルール、文化的な価値観と深く結びついているということです
私は、暮らしは、常に政治と結びついていると申し上げてきました。だからこそ、声を上げ続けないといけないと思うのです。

「アオハルスタンド 福島県立桜堂高校野球部の誓い」

持地佑季子さんの新刊が出ました。青春野球小説です。
「アオハルスタンド 福島県立桜堂高校野球部の誓い」(集英社文庫)

甲子園に行きたい高校球児が頑張るお話しと言ってしまえばそうなのですが、前作の「ハツコイハツネ」もそうですが、主人公に他の人にはないキャラクター持たせるのが持地流。
「アツコイハツネ」では「他人の感情が音として聞こえる」能力を持つ女性が主人公。
「アオハルスタンド」では、主人公の桃李はディスレクシア。
学習障害のひとつで、ようは読み書きができにくい。
知能が劣っているのではなく普通に生活もできるのですが、文字が歪んで見えたり、二重見えたりして、文字の形が認識できない識字能力障害です。
なぜ読めないのか理解できない桃李に、ディスレクシアだということを教えてくれた中学生翔に、「何かができないからって、他のすべてができないわけじゃないよ」と言われ、彼の弟明日馬とともに野球をはじめ、頭角を現します。
明日馬とバッテリーを組んで、甲子園に行く夢を持っていた桃李は、同じ県立高校をめざして必死に勉強したのですが、明日馬は私立の強豪校へ入学していました。
明日馬との決別と友情、恩人翔の死、新たな仲間たちとの出会い、ディスレクシアでの間違え、幼馴染の奈子の献身、桜堂高校の元エース海洲千尋の登場など等周りを固めるキャラクターの魅力に加えて、これでもかというほど桃李を葛藤させる持地さんの手腕が見事です。
もちろん、読んでいると映像がみえる、脚本家持地佑季子の描き方も楽しめます。

ドラマとは、葛藤・対立・相克。
ただのアオハル、青春ものでは終わらせない持地さん。
持地さんの本を楽しく読みながら、この面白さはどこにあるのかを分析してみるのも一考ですね。
きっとあなたのドラマづくりに役に立ちます。

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