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「年齢は関係ない」
脚本コンクールTBS NEXT WRITERS CHALLENGE 2024結果に学ぶ

脚本コンクールTBS NEXT WRITERS CHALLENGE 2024結果に学ぶ/「年齢は関係ない」

「TBS NEXT WRITERS CHALLENGE 2024」。過去6回にわたり実施した「TBS連ドラ・シナリオ大賞」をリニューアルし、2023年に第1回目となる「TBS NEXT WRITERS CHALLENG 2023」を実施。

このコンクールの目的は、日本国内のみならず海外でも通用する脚本家の発掘と、ドラマに限らず全てのストーリーコンテンツの成長・業界の発展に寄与する人材育成。連続ドラマ(60分×10話)の企画案&全体構成と1話の脚本を公募し、選考はTBSグループのクリエイターの方々が担当されます。

第2回目となる今回の応募総数は855作品(前回:1544作品)。
大賞1作品、優秀賞1作品、佳作2作品、特別賞2作品の計6作品が決定。

その中で、シナリオ・センター出身の4名が受賞!

☆佳作
・『悪い種』長濱亮祐さん(元本科)
・『ザ・カウンセラー』根本江利子さん(研修科修了)

☆特別賞
・『隣のオロチ』竹上雄介さん(元通信作家集団)
・『持田くんの実家は太い』上牧晏奈さん(シナリオ8週間講座修了)

上記4名の方の受賞コメントの他、選考委員の方の総評をご紹介。広報の齋藤がリポートいたします。
特に総評にご注目。このコンクールには年齢制限がありませんが、こちらのコメントをお読みいただくと「本当に年齢は関係ないんだ!」と実感していただけるかと思います。特に、「もう若くないし、年齢で落とされるかも……」と心配されている脚本家志望者の方、ぜひ参考にしてください。

TBSテレビ代表取締役社長 龍宝正峰さん
「ストーリーコンテンツを作り上げるための一番のスタートは脚本」

*

〇龍宝さん:TBSグループは「最高の“時”で、明日の世界をつくる。」を企業のメッセージとして発信させていただいております。「最高の“時”」を提供する。「何を届けるのか」というと「人々に感動を与える素晴らしいコンテンツ」だと思っております。

これまで我々は、テレビという画面を通じて、視聴者の皆さまにメッセージを届けることを放送局としてやってまいりましたが、皆さまご存知のように、いま状況が大きく変わっております。その中で、我々がいま掲げているのは、インターネットの配信などを使って、時間を越えてコンテンツを届けること。さらに、世界に向けて、国境を越えて、コンテンツを届けていこう、ということが我々の最大のミッションとなっております。

そういう長いスパンで、ユーザーの方に届けることができるコンテンツの中で、最強なものがドラマや映画などのストーリーコンテンツだと思っています。

そして、そのストーリーコンテンツを作り上げるための一番のスタートは脚本。脚本のチカラであることは言うまでもありません。それが我々にとっては非常に重要だということで「TBS NEXT WRITERS CHALLENGE」を昨年から強く推奨しております。

この賞の特徴は、何よりもTBSグループで実際にドラマを作っている精鋭の制作者たちが選考にタッチしている、ということです。

そしてもう一つの特徴が「ライターズルーム」()。受賞者の皆さんにはこれから6ヶ月くらい時間をかけて、素晴らしい才能をさらに尖ったものに、もっと強いものにしていただくために、TBSグループのクリエイターたちと一緒に切磋琢磨する時間を設けさせていただきます。

ライターズルーム:希望者は、 TBSと6ヶ月間の契約を交わし、TBSグループのクリエイターと共同で連続ドラマの企画開発や、脚本の執筆等にあたる他、特別講座の受講や、撮影現場の見学などにも参加が可能とのこと。

受賞者の皆さんが、TBSテレビの大事なパートナーとして、これから素晴らしい作品を世に送り出していくために、TBSグループとしてはできるだけの協力をさせていただくつもりです。皆さんと一緒に、国内は勿論、世界に通じる強いコンテンツを送り出せることを夢見ております。

選考委員による総評:新井順子さん(TBSスパークルエンタテインメント本部ドラマ映画部)
「何歳だろうが、関係ない」

*

〇新井さん:「TBS NEXT WRITERS CHALLENGE」は企画書・全体構成・1話の脚本提出という、なかなか難易度の高いコンクールではないかと思いますが、沢山の方にご応募いただいて本当に感謝申し上げます。

今回の受賞者の中には学生さんもいらっしゃって、若ければいいというわけでは勿論ないんですけれども、でも若いのに凄いな、と。尊敬します。一方で、今回が最後だと思ってチャレンジした結果、受賞された方もいらして。いろいろな人生があるコンクールになったなと思っております。

選考過程の中で、大賞・優秀賞・佳作以外にも「これは落としたくない」という作品があり、激論の末、今回は特別賞を設けることになりました。特別賞の2作は、総合力では佳作には及ばなかったものの、企画書や脚本の随所に未来への可能性を感じました。

特別賞『隣のオロチ』は、いい意味でバカバカしい企画の発想力、コミカルなセリフと登場人物のキャラクターが高く評価されました。コメディセンスに今後も期待しております。

同じく特別賞『持田くんの実家は太い』は、独特の世界観があり、すごく斬新だと思いました。セリフのうまさや主人公の描写の丁寧さが高く評価され、将来性を見込んでの受賞となりました。

佳作『悪い種』と『ザ・カウンセラー』はいずれも、1名以上の選考委員が最高点を付けていました。

『悪い種』は、セリフ・登場人物のキャラクター・構成が本当によくできていて、現代のネットワークビジネスの実態が細かくリサーチされており、脚本の総合的な完成度の高さが評価されました。
選考委員からは、「設定がダーク過ぎる」「主人公と友人の“友情”をもう少し観たかった」という意見もありましたが、「人物の設定や展開に違和感がなく、物語がスッと入っていく脚本だった」「セリフのテンポも良く読みやすかった」という意見がありました。

『ザ・カウンセラー』は、安楽死を扱った作品で、なかなか地上波としてはどうなんだろうかという意見もありましたが、それを凌駕するような筆力の高さやこれからの可能性を見込んで受賞となりました。重いテーマではありますが、登場人物のキャラクターがライトでとても読みやすく、作者の強い想いがこもった作品だと感じました。

優秀賞『アジ屋のリヒト~“サル”でも分かる!世論のつくり方~』は、企画の発想力、脚本の構成力が高く評価されました。特に若い世代の選考委員がとても強く推していました。また、企画力を評価する選考委員が多かったです。大賞とは本当に僅差での優秀賞となりました。

大賞『たかが3分』は、企画性・テーマ性・脚本のすべてが高水準に達していたため、大賞に選ばれました。本作は、双子の姉への劣等感を抱える主人公の青年が、姉の新居が何者かに放火されたことによって始まった同居生活をきっかけに、自身の過去と向き合い、夢を再発見していく物語。
選考委員からは「候補作の中で、最も主人公に共感できる心温まる作品だった」「普遍的な人間の劣等感を巧みに表現し、セリフもうまく書けていると感じた」「双子それぞれのキャラがしっかり描けており、掛け合いのテンポ感もよく、ラストの温かな展開も素晴らしかった」という意見があり、それがこの結果に繋がりました。

本当に、何歳だろうが関係なくてですね、若いからこそ描けることもありますし、いろいろ経験を積んだからこそ描けることもあります。今回はバラエティに富んだ作品が沢山ありました。この受賞をスタートにして、TBSのクリエイターとともに、皆さんにはこれからも可能性を伸ばしていっていただければなと思っております。

佳作『悪い種』長濱亮祐さん
「個人の小さな想いを大切にしてこれからも書いていきたい」

=あらすじ==
友人の死をきっかけに、詐欺まがいネットワークビジネスの世界へと足を踏み入れた女性が、復讐のため泥にまみれながらものし上がり、奪われたものをすべて奪い返そうとするピカレスクエンターテインメント。

〇長濱さん:そんなに明るい作品ではないんですけれども、選んでいただき感謝しております。

どんなに幸せそうに見える人でも「今の自分とは別の自分になりたい」とか「違う人生があるんじゃないかな」とか、そういったことを考えることがあると思うんですね。何かのきっかけでそういう想いが外に出たときに、人とぶつかったり、周囲とぶつかったりして、熱が生まれてエネルギーになって、そこがドラマになるんじゃないかと思っています。

派手な話でもささやかな話でも、そういう個人の小さな想いを大切にして、これからも書いていきたいと思っています。

佳作『ザ・カウンセラー』根本江利子さん
「もう今回で最後、と思って書いた作品」

=あらすじ==
希死念慮(死にたいと希望する気持ち)が強い患者を専門とするカウンセラーの主人公が、生きづらさを抱える患者たちに徹底的に寄り添いながら限界までカウンセリングを行い、最後の手段として安楽死に誘う――。そんな安楽死の是非を問う社会派ミステリ―。

〇根本さん:いま年齢が49歳です。今年50歳になる年なんですけれども、初受賞になります。脚本の勉強を始めたのは10年以上前なのですが、この十数年、なんの賞にも引っかかる気配がなく、でも、世の中に面白いドラマがいっぱいあって、ずっと憧れ続けてきました。

ただ、「自分、なんの才能もないな……」と思って、「いろいろ面白いドラマを観続けるのは辛いな……」と思って、「もう今回で最後」と思って書いたのが、今回の作品です。

最後だから悔いのないように、自分の想いを乗せて、普段はあまり言わないようにしている社会への問題意識や子育てを通じてモヤモヤしていることを全部書いちゃえ!という気持ちで書かせていただきました。

そういった想いを乗せた作品を評価していただけたことはすごく嬉しいのですが、同時に、自分の場合はそれぐらい振り切った作品を書かないと評価していただける作品にはならないのだと気づき、すごく勉強になりました。

これからライターズルームで勉強させていただきます。最後だなんていわず、スタートを切る、という気持ちで頑張ろうと思います。

特別賞『隣のオロチ』竹上雄介さん
「やっぱり脚本は映像化されてこそ」

=あらすじ==
金持ち家族の家から脱走したペットの蛇に懸けられた懸賞金を巡り、蛇を捕獲した貧乏家族が賞金額をアップさせるために奮闘する、かけがえのない家族の大切さを描いたホームコメディ。

〇竹上さん:『隣のオロチ』は、1匹の脱走蛇によって2つの家族が絡み合っていく物語です。正直、蛇はちょっと苦手なんですけども、この作品は愛着をもって仕上げました。

最初、特別賞という結果を聞いたときはすごく悔しい想いもあったのですが、「特別」という言葉は嫌いじゃやないなと思って、いまは嬉しい気持ちでこの場に立っています。

実は、別のコンクールで賞をいただいた作品(第48回 創作テレビドラマ大賞 大賞受賞作『明日、輝く』)がつい先日オンエアされました。良くも悪くもSNSなどで大フィードバックを貰えるので、いろいろなご意見ご感想をいただきました。その反響がとても嬉しくて。やっぱり脚本というのは映像化されてこそだな、とすごく実感しました。なので今は創作意欲で弾けきっております!

私は連ドラのオリジナルをやりたいと思って、ずっと書いてきました。ライターズルームでは、映像化にこだわって勉強していきたいと思っておりますし、もし途中で心が折れそうになったら「自分は特別な存在なんだ!」というのを無理やり言い聞かせて頑張っていこうと思います。

特別賞『持田くんの実家は太い』上牧晏奈さん
「人間の可愛いところを多めに集めて脚本にしていけたら」

=あらすじ==
家事が得意な無職の主人公が、社会とのギャップに苦悩しながらも、彼の家に集う悩み多き人々をおいしい料理やおもてなしで癒し、彼自身も自分らしい生き方を見つけていく。現代社会における「自立」や「ケア」の在り方を問いかけるハートウォーミングなヒューマンドラマ。

〇上牧さん:夜な夜なベッドから天井を見上げて「誰か私を見つけてくれー!」と思っていたので(笑)、この度は見つけていただけてとても嬉しいです。

私が初めて台本を書いたのは高校生のときで、友達に「漫才やろうよ」って誘われて書きました。その後、コントの台本を書いたり、演劇の台本を書いたりして、いまに至ります。

私は人間の可愛いところが描かれた作品が大好きです。人間の可愛いところと可愛くないところをじっと見つめて、可愛いところを多めに集めて脚本にしていけたらなと思っています。

驕らず、へりくだり過ぎず、伸び伸びと、チームの一員として面白い作品を追求していける脚本家になりたい、というか、なります!これからどうぞよろしくお願い致します。

副賞は受賞者の中から必ず1名以上が脚本家デビューすること

「TBS NEXT WRITERS CHALLENGE」で受賞した場合、賞金の他、副賞として受賞者の中から必ず1名以上が脚本家デビューすることが約束されています。

現に、前回の「TBS NEXT WRITERS CHALLENGE 2023」にて、『フェイク・マミー』という作品で大賞を受賞された園村三さんは、本作(連続ドラマ化予定)で脚本家デビューされます。

また、同じく前回、『ノット・ギルティ―僕たちに罪はない―』で佳作を受賞されたシナリオ・センター出身の齊藤ようさんは、2025年4月期ドラマ「日曜劇場『キャスター』」のサイドストーリーである『恋するキャスター』(U-NEXTで独占配信)の脚本を担当されることに!

こういった“実例”から、本当にこのコンクールは年齢に関係なく、魅力的な脚本を書くことができる人材を求めているんだ、ということがよく分かりますよね。次回「第3回TBS NEXT WRITERS CHALLENGE 2025」の開催も決定しておりますので、脚本家志望の皆さん、ぜひ挑戦してみてください!

※前回の「TBS NEXT WRITERS CHALLENGE 2023」でもシナリオ・センターの出身生が受賞されました。併せてご覧ください。
どんな作品が選ばれるのか/TBS NEXT WRITERS CHALLENGE 2023 受賞作に学ぶ

「シナリオは、だれでもうまくなれます」

「基礎さえしっかりしていれば、いま書いているライターぐらいには到達することは可能です」と、新井一は言っています。“最初の一歩”として、各講座に向けた体験ワークショップもオススメです。

※シナリオ作家養成講座とシナリオ8週間講座は、オンライン受講も可能です。
詳しくは講座のページへ

シナリオ作家養成講座(6ヶ月)

シナリオ8週間講座(2ヶ月)

シナリオ通信講座 基礎科(6ヶ月) 

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