シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。
シナリオ・センター代表の小林です。随分と涼しくなりました。
あの夏の暑さが体にしみこんで抜けていないのでしょうか、どこかで「ホント?」って体が訊いてきます。「ホントだよ」といえない脳がいます。
やっとやっと本当になったお話があります。
2011年「城戸賞」最高得点で受賞した作家集団の土橋章宏さんの「超高速!参勤交代」。
本日講談社より小説として刊行され、松竹で映画化が決まりました。イエーイ!!
「城戸賞」はご存知のように、映画制作者として大きな貢献をされ、藝術家、技術家の育成に努められた故城戸四郎さんの「日本映画の振興には、脚本の受け持つ責任が極めて大きい」との持論に基づき、新らたな人材発掘、創作活動を奨励するために設けられました。
映連(映画製作者連盟)各社のプロデューサーによる審査で、毎年映画の日12月1日に授賞式が行われています。
シナリオ・センターでも、最近では、「猫弁」など小説家としても活躍中の大山淳子さんや、11月公開のジブリのアニメ「かぐや姫の物語」の坂口理子さんなどが受賞されています。
でも、城戸賞受賞作はなかなか映画化がなく、38回の受賞作のうち映画化されたのはわずか12本。
昨今ヒットした映画「のぼうの城」も城戸賞受賞作ですが、小説でベストセラーになり、やっと映画化になったという経緯があります。
残念ながら、大山さんの「三日月夜話」も坂口さんの「風に聞け」も未だに映画化されていません。
土橋さんの「超高速参勤交代」は、小説化と映画化が決まり、一足お先に小説が刊行の運びとなりました。
映画は2014年公開予定です。
このお話は奇想天外ですが、ちょっと時代劇版「半沢直樹」かも。(笑)
なにせ、小藩をつぶしにかかろうとする幕府の老中をアッと言わせてやるんですから。
参勤交代、天災でお金のない超貧乏小藩が8日はかかる参勤交代を「5日以内に参勤せねば藩を取り潰す」と無理難題をかけられます。
殿様以下7名は、頭を使ってちゃんとした大名行列にみせながら、山野を踏み越え、公儀隠密、お庭番などの妨害に遭いながら、江戸城本丸へ5日間でみごと辿り着く、知恵とアクションの痛快時代劇なんです。
受賞された脚本も、あまりの面白さ、発想の見事さに、アッという間に読破しましたが、小説もまた・・・。シナリオとはまた違った面白さで、ぐんぐん読んでしまいました。
まずは、小説を読まれて、映画を観ましょう。
土橋さんは、函館港イルミナシオン映画祭でグランプリ、TBS連ドラ大賞入選、そして、小説でも伊豆文学賞をとられています。
筆力も、発想力も、書く早さも、ちょっと右に出る者はないくらいすごい方です。
「テンポよし!キャラよし!読後感よし!スカッとした!」この小説を読んだ書店員さんの感想のひとつですが、作品も作者もまさに、この通り。(笑)
これから、大きな活躍ぶりが楽しみです。ガンガン応援していきます。