シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。
10月10日、シナリオ・センター代表の小林です。
お芝居の話ばかりで、映像のことはここのところ書いていません。すみません。
といながら、三谷幸喜さん演出の「ロスト・イン・ヨンカーズ」を見てきたお話を少し。
三谷さんが尊敬されている、師とも仰いでいるニール・サイモンのお芝居を演出されました。
翻訳ものですから、長いとは思っていたものの「三谷さんの演出だから」きっと短くされたに違いない思って観劇に行きましたが、やはり長い。(笑)
休憩15分をはさんで85分、85分だから正味3時間弱です。
外国のお芝居やミュ-ジカル、オペラをよく見られて、演劇にも詳しい作家集団の新井講師。
明日観にいかれるとおっしゃったので「10時15分終了です」「おなかがすきます」と深切に教えてあげました。(笑)
新井「そうですか。外国の舞台は、ほとんどガッツリしつこく長いです。これでもかって」
小林「えー、外人の方が淡白かと思っていた」
新井「芝居ひとつとってもわかるように、実は外人はしつこいので、日本人の方が、諦めがいいので交渉に負けてしまうんだよ(笑)」
小林「日本で上演するときは短くするんでしょう?」
新井「さすがの三谷さんも、ニール・サイモンは切れなかったんじゃない」
なるほどと思って、プログラムを読んだら・・・。
「可能な限り台本はいじらないようにしています。」とおっしゃっていました。なるほど。
プログラムの中で、三谷さんがパルコ劇場上演のニール・サイモンのベスト3を語っているのですが、「映画に出たい!」の翻訳本を読んだときに、構成の隙のなさに打ちめされて、脚本を全部自分で写してみたと語っています。
「写してみると見えてくるものがあるんですよ。(略)
ニール・サイモンがセリフを書いたときのことが想像できるというか・・・そこになにかが見えてくるんですよね。
だから、ただただ機械的に写すわけじゃなくて、書いている時間そのものが大事なんです。
もちろん、ニールサ・サイモンのほうが考えながら書いているから、時間がかかっていると思うけど。
やっぱりニール・サイモンが乗り移るというか、なりきらないといけない。
あと、書いて見ると全体の構成も見えてきますから。」
昔は、よく「映画を観ながらシナリオを起こした」とかおっしゃるベテランの方がいらっしゃいました。
岡田惠和さんも、山田太一さんのシナリオを書き写したとおっしゃっていました。
「書き写す」というのは、「書く」作業というのは、自分の中に落としこむ作業なんですね。
「すごい!」と思ったら、「書き写してみる」こんな勉強方法も、シナリオがうまくなるためのひとつですね。
秋の夜長、創作に取り組む。書写に取り組む。どちらもいい夜になる気がします。