シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。
シナリオ・センター代表の小林です。寒い夜は、読書が一番。ぬくぬく掘りごたつに埋まりながら、番茶すすり、本を読むのが私の余生です。
本を読んでいるときは、色々な嫌なことも、四十肩(六十肩とはいわないのです)の痛みも、指のしびれも忘れられます。
シナリオ・センターの講師でもある出身ライターの高山由紀子さんが、角川文庫から時代小説を出されました。
「吉原代筆人 雪乃 一 色もよう」(角川文庫刊)
吉原遊郭の隅で遊女たちの代筆を行う女雪乃が主役です。
吉原は嘘に塗りこめられたところ。消えた男を追って吉原に辿り着く雪乃。
消えた男は一体誰で、雪乃の出生は・・・謎の女雪乃は吉原の代筆屋となります。
だましだまされる遊女とお客。代筆する雪乃は手紙の秘密に巻き込まれ、様々な事件に出会い、その中で雪乃の秘密が少しずつ明るみになっていきます。
吉原遊郭を舞台に、遊女ではなく女の代筆屋を主役に新しい時代小説が生まれました。
実は、この一冊は一となっているように、まだまだ続きます。
いったい、次はいつでるのか、早くこの先を読みたい本です。蛇の生殺しはやめて欲しい!!
高山由紀子さんは、脚本家であり、監督でもあり、小説家でもあり、プロデューサーであり、たくさんの顔をお持ちです。
デビューは異色で、なんと「メカゴジラの逆襲」。デビューが人気映画のゴジラとはすごいですよね。デビュー作で一世を風靡してしまいました。
その後、デビュー作とはまったく趣の違う「月山」「遠野物語」「KOYA 澄賢房覚え書」「徳川の女帝大奥」「源氏物語 千年の謎」などの多数の映画脚本を手がけられ、「風のかたみ」「娘道成寺 蛇炎の恋」(ワシントンDCインディペンデント映画祭最優秀賞受賞作品)では脚本、監督。
テレビドラマも、アニメ「フランダースの犬」から「はぐれ刑事純情派」「必殺シリーズ」と多種多様、小説「国東物語」「トリナクリア PORSCH959」「源氏物語 千年の謎1・2」等と幅広く活躍されています。
今回の時代小説「吉原代筆人 雪乃」も、必殺シリーズの経験があったからこそ書けたんですとおっしゃっています。
おわかりでしょう。シナリオの基本がしっかりできていれば、どんなものでもできちゃうんです・・・応用というのは基本があれば、色々な形になるということがおわかりになるかと思います。
高山さんは、時代小説の依頼をいただいたとき、必殺シリーズなどで培った江戸時代、吉原のことなどを舞台にしようと思われたそうです。
吉原といっても遊女が主役ではありきたりということで、代筆屋に。しかも謎を持つ女です。
キャラクターをしっかり作られるのも、脚本家ならでは。時代劇だと言葉遣いひとつ違いますから。
これから、何かを表現したいと思われている方、まず、基本をしっかり身につけましょう。
無意識に自然と基本がでるようになれば、いくらでも応用が利くようになります。
まず、コツコツとはじめの一歩から。
どんなベテランでも、売れっ子でも、誰でも最初は、はじめの一歩からです。