シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。
シナリオ・センター代表の小林です。昨日、町会の新年会の席上で、隣に座られた80歳前後のお年を召されたおば様に、「小林です」と名乗ったら間髪いれず「あら、あなたも新潟出身?私は長岡」といわれ、びっくり。
こういう展開って始めてで、一瞬答えに詰まってしまいました。
小林=新潟というのがよくわからず、「新潟は小林姓が多いのですか」とおききしたら、「私の子供の頃はクラスの7~8人は小林だったのよ」とお答えくださり、小林姓にまつわるエピソードをいくつかご披露くださいました。
なっとく!でも、残念ながら、我が小林家は新潟の出ではないのです。(笑)
そこに、反対隣の87歳のおばあさまが参戦。「私、長岡に疎開したことがありますの」「あらら、どちらに・・・」
なるほど初対面の方との会話の糸口って、こういう形ってありだなあと妙に新鮮な気持ちになりました。
参戦された87歳のおばあ様は、番町の歴史を知る語り部として上智大などでおはなしをされていらっしゃるとか。
昔の番町古地図には、○○子爵とか伯爵とか書かれていて、あの文豪を産んだ有島一族は、薩摩からでてきた華族でもない家柄なので何と書かれていたかというと「資産家」って書かれていたとか。ほほぉ!
姓名のお話も、古地図のお話もミソ帳もいれさせていただきました。
さまざまな昔語りも面白く、ちなみに私の父やその妹弟、祖父母のこともよくご存知で、普段近所付き合いもままにならない私としては、見知らぬ人ご近所さんとのしばしの交流を楽しみました。
新聞の書評を読んでいたら、「白洲正子 ひたすら確かなものが見たい」(平凡社)という挟本佳代さんが書かれた評伝がでていました。
珍しくご本人と会われたことがなく白洲正子さんの著作だけで書かれた評伝なのだそうです。早速注文しました。
ご主人の白洲次郎さんは、ご存知のようにGHQに「従順ならざる唯一の日本人」といわしめためちゃくちゃかっこいいプリンシバルだし、白洲ご夫妻は、どちらも学識も教養も財産もお家柄もすべて整っている上に、やることなすこと型破りでカッコいいんですね。
貧乏人で浅学の自分とはあまりにかけ離れているので、私の性格としては、ふつうだったら反発するような方々なのですが、なぜか好きなんですね。
何故好きなのだろうと思っていたのですが、この評伝の書評を読んで氷解しました。評を書かれた田中優子さんの文章を参照させていただくと、
【重要なのは「型」であった。著者は白洲が「確かなもの」を見極めた根幹に「型」の取得があったことに注目をする。白洲は能や香道の型を体得することでそこののみ個性が表れることを知る。徹底的に型を身体に刻み込み、型が重なって舞いとなり、舞が重なって能となることを悟る。・・・】
私がいくつも白洲正子さんの本を読みながら、共感したのは【「型」が大事だ】とご自分でも「型」の習得に励まれ、常におっしゃっていたからに他なりません。
日本人としては、めちゃくちゃ型破りな白洲夫妻は、型を知っているからこそ「型破り」であられたのです。
「型を知らずして崩せば、型無し。型を知って崩せば型破り」
ほんものは、型=基本を知ってこそ。
まずは、型の習得を図る新井一、シナリオ・センターの教えもここにありました。