シナリオ・センターの開講情報をお知らせします。ドラマや映画だけでなく小説、戯曲、漫画やアニメの講座の開講、コンクール対策講座もあります。
シナリオ・センターの新井です。
シナリオを書く面白さ、シナリオの書き方のポイントについて、シリーズでお送りしたいと思います。
シナリオ・センターの若手講師である野田がお伝えします。
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春には春の、冬には冬だからこそのドラマが生まれます。
季節ごとにあるイベント事を題材にドラマ作り!ですね。
さて、2月14日バレンタイン。
女性はあの人に想いを伝えられましたか?
男性の方、ロッカーや下駄箱、帰り道にトキメキはありましたでしょうか?
どんな状況であれ、ドラマを感じさせてくれるバレンタイン。
今日はこのバレンタインをモチーフにシナリオ技術「シャレード」をやっていきましょう。
シャレードとは間接的表現のことです。
つまり、「好き」という気持ちを直接的な言葉でなくチョコレートやクッキーで想いを伝えるバレンタインは、まさにシャレード日なのですね。ドキドキワクワク……
例えばいつも顔を合わせれば喧嘩ばかりしている太郎と花子のバレンタインデーで、簡単なシナリオを考えてみましょう。
〇教室(夕)
花子はクマ柄のラッピングされたチョコレートを後ろ手に、太郎の元に歩いて行く。
良子が教室に飛び込んで来て、太郎に何かを手渡す。
立ち尽くし見ている花子。
ゴミ箱にクマ柄のラッピングチョコレートが捨ててある。
これは全てト書にあたる箇所なのですが、セリフとして「好き」と言わなくとも花子の太郎に対する気持ちが伝わったかと思います。
ただチョコレートを渡すだけだと、義理チョコの可能性がありますが、「ゴミ箱に捨てる」ことにより花子は「本当に太郎のことが好きなんだなぁ」と感じることができます。
これが「シャレード」です。
セリフで゙聞かずではなく、ト書で゙見せる゙ことなんですね。
このように何でもかんでもセリフやナレーションによって説明するだけでなく、「描写でわからせる」ことが、映像が持つ特質であり、最大の武器になるのです。
ですから作品作りの際、「ん?待てよ。これは他の方法で表現できるんじゃないか?」と一旦筆を止めて考察してみる作業をしてみてください。案外そこに、それぞれのキャラクターが出せるところだったり、ドラマをグンと面白くする要素が含まれているところだったりします。
今回の太郎と花子の例は「人物に対して」のシャレードですが、他にもここはどんな場所なのかという「場所に対して」。それから、これはどういう状況なのかという「状況に対して」の3つのシャレードがあります。
不味い定食屋と伝えるには……
この二人はまだ喧嘩しているとわからせるには……
シチュエーションは様々ありますが、ポイントはキャラクターの仕草や行動、小道具に焦点を当ててみることです。
視野を広く、面白いシャレードを描いてみてくださいね。
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いかがでしたか?シャレードは映像で表現する面白さの代表と言っていいかもしれません。もちろん、小説でも効果的に使えますよ。
『シナリオ基礎技術』(新井一 ダヴィッド社)p162~ を参考にしてくださいね!