シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。
シナリオ・センター代表の小林です。今日は3月10日、東京大空襲の日です。
わずか2時間半ほどで東京の下町は焼き尽くされ、10万人の方が命を落とされました。
戦争は、人の力で起こされたものです。
児童文学作家の早乙女勝元さんは、スカイスリーのお膝元で、[東京大空襲・戦災資料センター]の館長さんをやっていらっしゃいます。
子供たちの戦争の悲惨さを知らせ、戦争が起きるということ、戦争となんなのか、戦争をさせないようにするにはどうしたらいいのか・・・人の言葉ではなく、自分の頭で考えてもらいたいと思ってのことです。
スカイツリーに遊びにいらっしゃるときは、こちらを見学されてからいらっしゃったらいかがでしょうか。
眼下に見える景色も変わって見え、平和で過ごせることのありがたみを肌で感じられるかと思います。
先週土曜日に、昨10月亡くなられた出身ライターの中園健司さんの偲ぶ会が行われました。
多くの方が集まり、中園さんの功績とその真面目なお人柄を語られました。
中園さんの遺作は、東京大空襲を描いたもので、今週土曜日3月15日午後7時30分からNHK総合で放映されます。
「東京が戦場になった日」(NHK総合・3/15土曜日PM7:30~8:58)
中園さんは、単に空襲の悲惨さを描くのではなく、そこで一人でも多くの命を救おうとした若い消防士を描くことによって、より戦争の恐ろしさを描こうとされました。
ご存知でしょうか。
「学徒消防隊」と「年少消防官」という存在を。私は初めて知りました。
戦争末期、多くの若者が戦地に赴き、国内に残された理系の学生や満18歳に満たない少年たちが消防隊として集められたそうです。
そして、東京大空襲の日、若き消防士たちは、自分の命も顧みず炎と戦い、殉職されていったのだそうです。
ですが、69年たった今もなお、いまだに正確な殉職者集も判明していない。
そのことを知った元東京消防庁の消防士中澤昭さんが多くの先輩や体験者からお話を聞かれて書かれた著作「戦場になった日」が原作です。
中園さんは、「学徒消防隊」「年少消防官」を主人公に新しい視点で、炎と戦った戦士たちを通して、東京大空襲を描きました。
中園さんは、思いの丈を込めて書くライターだと皆さんがおっしゃっていました。
「中園さんのメッセージは劇中で語られています。戦争の悲惨さ、それを引き起こす人間の恐ろしさまでを伝える『今の時代の私たちのドラマ』です。」と篠原チーフプロデューサー。
こんなきな臭い昨今だからこそ、中園さんの思いとともにこのドラマをきちんと見たいと思います。
私たちは、10万人という数の一人ではなく、家族も生活も愛する人もいる一人の人間で、何者にも勝手に殺されてはならないことをしっかりと胸に刻んで、中園健司さんの遺志を受け継いで、考えること、声を上げることのできる人間でありたいと思います。