シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。
シナリオ・センター代表の小林です。良い天気になりました。
今日は、私の大好きな「最後から二番目の恋」の「続・最後から二番目の恋」が始まります・・・ややこしい・・・(笑)
このドラマは、岡田惠和さんの脚本の妙味に尽きると思うんです。
別に何か大きな事件があるわけでもない、一人一人のキャラクターとそれぞれが持っている事情だけで、お話が進んでいきます。なのに、毎週どうなるか楽しみでたまらない。
新井一が「ドラマとは感情であり、ストーリーとは理屈である」といっていますが、まさに岡田さんのシナリオは、感情のぶつかり合いを活かしているからこそ、ドラマとして面白いのだと思います。
是非、脚本家を志す方、見てください。あなたの作品にプラスになります。
キャラクターというと、登場人物の履歴書を作るといいですよというお話が出ます。
内館牧子さんが講演されたときに「私は、主人公の履歴は、大学ノート1冊くらい作ります。例えば、小学3年生の運動会で徒競走でびりになって・・・とか細かく作ります。」とおっしゃっていました。
その後、受講生の方から、「私も内館さんのように、大学ノート一冊に履歴を作って、シナリオを書いたのに、みていただいたら、キャラクターが全くできていないと言われたんです。なんで???・・・」と。
残念!そうなんです。こういう受講生の方、案外多いです。
履歴を作るだけではだめなのです。その履歴を活かさなくては。
ほとんどの方は、書いただけで表面的な部分しか使っていません。
「3年生の時びりになって・・・」でいうと、この「・・・」が大事なのです。
ここがドラマの肝。
びりになって・・・恥ずかしいと思ったのか、悲しかったのか、悔しかったのか、友達の頑張りに拍手したのか、気にならなかったのか、こんなもんだと思ったのか、様々な思いがあると思うのですが、ここを使わなければキャラクターが深くならないんですね。
恥ずかしくて泣いた子供であれば、大人になったら、何かがあるたびに後ろへ引っ込んでしまう自信のない臆病な性格になっているかもしれません。
ことあるごとに、人は変わりますが、そこのキャラがつかめていると性格の軸はぶれないので、葛藤、対立、相克が深くなって、ドラマが面白くなるのです。
唯、履歴だけ作っても、自分史でしかありません。
これから、市川森一賞の授賞式にお伺いします。
尊敬する市川森一さんの賞を受賞されて、本当に嬉しくて親でもないのに、出身ライター浜田秀哉さんの晴れ姿に、泣けそうです。(笑)