シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。
シナリオ・センター代表の小林です。私が河口湖へ行っている間に、橋田賞の授賞式がありました。
ご存知のように、出身ライターの森下佳子さんが、向田邦子賞とのW受賞。飛んで行って、お祝いを申し上げたかったのですが、河口湖映画祭と重なり、とても残念でした。
これほど体が二つ欲しいと持ったことはありません。二つ分は割れるくらいはあるんですけれどね。(笑)
「『ごちそうさん』(NHK)のオリジナル脚本に対して。「食」をテーマにこれまでとまったく異なるヒロイン像や個性の強い夫の家族や周囲の人物のキャラクターを巧みに描き、様々な問題に直面する中、ヒロインが「大阪の母」として成長していくユニークな物語をダイナミックに展開して幅広い視聴者の共感を得られました。」
おめでとうございます。
森下佳子さんの受賞理由を拝見して、いかに森下さんのシナリオ力がすごいかと改めて思いました。
作家の視点とキャラクター造形の大切さを森下さんは教えて下さいました。
シナリオを志す方々は見習いたいものです。
橋田賞新人脚本賞佳作(入選作なし)には、大阪校の有信由美子さんの「消えた卒業絵画」。おめでとうございます。
高松から大阪校へ通われていた頑張りが、受賞へとつながったのかと思います。
受賞の言葉で、有信さんは、「この物語は、瀬戸内海の小都市で戦時中子供たちに「お国のために死ね」と教えた元教師が自分自身の過去にオトシマエをつける話です。
新たな戦前を思わせるニュースが相次いでいた2013年の夏、このシナリオに向き合うことだけが私の抵抗でした。こんな思いだけの拙作を選んでいただけき本当にありがとうございました。でも、それだけに嬉しいです。
駄作でもなんでも自由には発表できる今に感謝しつつ、今後も元気に書き続けたいと思います。」
有信さんの受賞の言葉こそ、作家の視点がいかに大事かということです。
作家の視点というと重いテーマをつくれと勘違いされる方もいらっしゃいますが、社会派を書けということではありません。コメディでも作家の視点がきちんと定まってこそ、笑いの切り口が鋭くなる・・・すべて作家自身だということです。
作家であるためには、自分自身を磨き続けなければならないと、お二人に教わった橋田賞でした。
お伺いできなかったのは、とてもとても残念です。
ちなみに、橋田先生は御歳89歳・・・バリバリの現役で意気軒昂でいらっしゃる。
若者よ!負けるな!