シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。
シナリオ・センター代表の小林です。昨日、出身ライターの美輪和音さんが、お書きになった新刊を持っておいでくださいました。
美輪和音さんは、2010年「第7回ミシテリーズ!新人賞」を受賞し、小説家としてデビューされましたが、実は脚本家でもあります。
「美少女H」でテレビドラマデビューし、爆発的な人気となった映画「着信アリ」シリーズを手掛けられました。
得意ジャンルはミステリー、ホラー。もうあの「着信アリ」の怖さは、いまだに忘れられないほどです。
受賞の小説も、「着信アリ」に負けず劣らず、とても怖かったです。
なので、正直なところ、「こわいこわい」の怖がりの私としては、わざわざ持ってきていただいたものの・・・読みたくありません。(笑)
「8番目のマリア」(角川ホラー文庫刊)文庫のための書き下ろしです。
読みたくないけれど、読みました。(涙)
いわゆるホラー好きな方には、物足りないかも怖さかもしれません。えぐくもないし、おぞましい感じも少ないし・・・。
でも、でも・・・私には、今まで読んだいわゆるホラー小説と違った怖さ、凄味を感じました。
なぜかというと、ジェイソンのような無残な殺し方はありませんが、(ま、首吊りはありますが・・・)、心理的に追い詰めていくその怖さがすごいんです。一気呵成に読んじゃいました。ホッ!
中学時代の仲良し7人が、目覚めると手足を拘束されて部屋に閉じ込められているところからはじまります。
7人共通の罪を告白させられ、その主犯と思しき人を投票し、最多得票を得た人は首を吊られて殺されてしまいます。そして、次々と・・・。次は誰?なんのために?・・・あとは、ナイショ。(笑)
一章ずつ、7人個々の視点で描かれて、同じ罪をそれぞれの視点でみつめさせ、それぞれのキャラクターが色濃く出て、とても面白い構成で、進んでいきます。
閉じ込められた部屋の中で、7人が生き残りをかけて、多数決に臨みます。自分の犯した罪は?誰のせい?次に選ばれるのは誰?誰が私に?
仲良しだった7人がどんどん追いつめられて、疑心暗鬼になっていく・・・人間の誰でもが持っている罪、業の深さに迫る戦慄のシチュエーションスリラーです。
深夜ドラマでやったら、メチャクチャ怖くて、寝られないかも。
小説家の腕だけでなく、脚本家の腕が要所要所輝いて、見せ場の作り方がサイコー!です。
映像もありだけれど、客席も舞台して一つの部屋を作り上げる・・・そんな演出にして、それこそ舞台、演劇にするのもアリ?
ドラマ化、舞台化、おすすめの小説です。
でも、ドラマ化や舞台化になったら、その時は、うーん、私、見れないかも。(笑)
しかし、美輪さんって、楚々とした美人なのに、どうしてこんな怖いことばかり考えるのかなあ。こわーい!