シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。
シナリオ・センター代表の小林です。今日で6月も終わり、いやいやいや、早いですね。2014年も明日からは後半になるってことです。
2011年「猫弁 天才百瀬とやっかいな依頼人たち」で講談社&TBSドラマ原作大賞を受賞し、小説化&テレビ化された「猫弁シリーズ」、27万部の売り上げを誇り、ついに6冊目「猫弁と魔女裁判」でシリーズ完結を迎えます。(寂しい!)
作者の大山淳子さんから、ご本が送られてきました。
開けてびっくり、玉手箱!
「猫弁 魔女裁判」の単行本はわかるのですが、もうひとつ大きな辞書みたいな本が入っていました。
「うーん?」と取り出してみると、猫弁シリーズ終了を記念した「猫弁全集」。シリーズ全巻と大山さんのあとがきが収録されています。
読まれていない方は、一気呵成に全シリーズを読むことができます。
私は全シリーズ、読ませていただいているので、新刊本を先に手に取りました。
出先で、この本を読みながら、ひとりランチをしていました。(ながら読みしてすみません、大山さん)
ランチコースを頼んだのに、涙が出てきちゃって、最初のスープ以外、美味しく食べられませんでした。(笑)
別にストーリーそのものは、泣かせる話というよりは楽しいのにです。
今回、主人公の天才猫弁百瀬弁護士の登場はきわめて少ない。最後の裁判くらいなんですね、カッコよくどーんと出てくるのは。
百瀬弁護士は、他の事務所からの依頼仕事でアメリカに行ったりきたりと忙しく、婚約者の亜子さんとも、結婚式の日取りを決めたにもかかわらず、わずかにしか会えないくらいなので、ほとんど登場しません。
ここがミステリーなのですが、百瀬弁護士が何をしているのか・・・婚約者の亜子始め周辺の人々や猫には、誰もわからないのです。
それでも、いないことを寂しく思いながら、百瀬弁護士の周辺全員と猫たちが右往左往し、物語は、猫弁百瀬に向かって進んでいきます。
猫弁百瀬への愛情をそれぞれが違った形で表現して、百瀬太郎という主人公がどんなに愛され、信頼されているか、そのシーンシーンの描き方がいい。ジーンとして、泣かされちゃったというわけです。
今回は、不思議なことに主人公がほとんど出てこないのに、読み手の心の中に、主人公猫弁百瀬がどっしり居座っているんです。
こんな描き方、普通ではできない。大山さんの筆力は、本当にすごい。
本当にエンタテイメントを知っていらっしゃる方だと思います。
エンタテイメントとはなにかを知りたい方、猫弁大全集を読んでください。
「これだ!」って、掴めるはずです。
参考文献に、シナリオ・センターの同期萩原恵礼さんが書かれた「裁判はドラマだ!」(言視舎刊)を使っていらっしゃいます。
こんな形の同輩同士の助け合いもあるんです。いいでしょ、シナリオ・センターは。威張っちゃう(笑)
しかし、猫弁シリーズは2作までは、吉岡秀隆さんと杏ちゃんのコンビでテレビ化されたのに、この続きはまだ放映されていません。
なんてことでしょう。エンタテイメントしたいです。
とりあえず、大山淳子さん、猫弁シリーズ完結おめでとうございます。そして、お疲れ様。次を楽しみにしています。