シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。
シナリオ・センター代表の小林です。今日は暖かい日差しが、でも、夜から寒くなるとか・・・。東北北海道の方は大雪。大丈夫でしょうか。日本は本当に狭いのに広いですね。
昨日、ご紹介しました「天宮凜子のワケあり物件」に続いて、今日はライターズバンクにオファーをいただいたTOブックスさんのコンペから生まれた作品「トモシビ~銚子電鉄の小さな奇蹟~」吉野翠さんのご本を紹介します。
「天宮凜子のワケあり物件」も、前にここで取り上げさせていただいた関口暁人さん「神様刑事~警視庁犯罪被害者ケア係・神野現の横暴~」、佐藤万里さんの「ようこそ、カズ先生」もこのコンペから生まれました。
「シナリオ・センターは小説も教えているの?」といわれると、シナリオなんですけれど・・・。
最近は、電子書籍も含めて小説のオファーがとても多く、この表参道シナリオ日記を読んでくださっていらっしゃる方は、うすうす感じていらっしゃると思うのですが、紹介も多く、年々増えています。
シナリオ・センターでシナリオの基本をしっかりと身につけていただければ、小説家にもなれます。
ただし、基本ができていないと小説として売れませんから、ただ書けばいいというわけではありません。まずは基本を。
作家集団の吉野翠さんの「トモシビ~銚子電鉄の小さな奇蹟~」(TOブックス)は、文庫書下ろしです。
1便から3便という形で3部作になっていて、銚子電鉄の伝説の人電車翁や電鉄の人を通して、それぞれの物語が重なりながら、進んでいきます。
1便は「恋の片道切符」吹奏楽部の部長に憧れる女子高生の淡い恋心を、2便は「仲ノ町ぶるーす」父親の跡を継いで運転手になりたかったサラリーマンの電車と妻への想いを、3便は「熊さんとファドを」母に捨てられた過去を持つ電車おたく撮り鉄の男の恋を描きながら、銚子電鉄を軸にそれぞれの人生がリンクしていく、それぞれが誰かの灯火として行き先を照らしながら、一つの奇蹟を生んでいく・・・とてもうまい構成です。
小さなローカル電車に乗る人々、ひとりひとりがそれぞれの人生のドラマを持っています。優しい気持ちにさせてくれるすてきなお話です。
この銚子電鉄を舞台に、もっともっとドラマが生まれそうです。また、ローカル線シリーズにしてもいいかも。
ローカル線って、「あまちゃん」の三陸鉄道もそうですが、なんだか気持ちをほっこりさせてくれ、なんだか優しい人に出会いそうな気にさせてくれますよね。
本当に出会いそうなこの登場人物たちに、私も銚子電鉄に乗りにいきたくなってしまいました。