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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

日本の心

シナリオ・センター代表の小林です。デ杯の日本対カナダでは、22敗でベスト8を逃してしまいました。一人で2勝と頑張った錦織選手が「自分の役目が果たせてうれしい」と。
爽やかな若者が、戦争ではなく、世界を相手にして頑張っている姿って、すてきです。 

 海岸列車

亡くなった母が好きだったので、宮本輝さんの小説をよく読んでいました。
宮本さんの小説を読むと、自分の生き方を問われるような気がして、立ち止まったり、迷ったりしているときには、特に読みたくなります。
反省したいときにも読んでいます。()
昨日読み終わった「海岸列車」という作品は、1989年に書かれた作品なのですが、文庫になったので読み返してみました。
かっこいい言い方をしましたが、本当は、読んだことすら忘れていて、つれあいに「読んだでしょ」と言われて、気がついたくらいで・・・ちょうど反省したい時だったので、神様の、いや母の思し召しかと。()
 

作品の中で、日本が嫌いだという日本人の若者がいいます。
「今の日本を恥ずかしく思っている。日本という国を愛し、まぎれもなく日本人であるからだ。」(略)
「おい、日本よ、そんなになんでも金で買えると思わないでくれ。この世界の中で、下品な成金の役割を演じないでくれ。もっと懐の深い視野に立ってくれ。ガリガリ亡者にならないでくれ。日本固有の精神を芯にして、世界のために何か役立つことを為してくれ。札びらで相手の顔を殴るはめになるようなことはやめてくれ。もっと堂々としてくれ。少し力を得ると傲慢になり、少し劣勢にたつと、ヤケをおこし居丈高になるような、そんなチンピラみたいな真似はやめてくれ。俺たちの国は、古来から礼節を重んじてきたはずではないか。簡素さの中に美を見出してきたはずではなかったのか。頼むから、そんなチャラチャラと軽くならないでくれ」


これを読んだ時に、いつの時代も変わらないのかと情けなくなりました。
「わからない人にはわからない」「知らなかった」「返したからいいでしょ」「法律には抵触していない」
お上たちにこのまま送りたい心境になりました。
「恥」というものを知らない人たちが、日本を動かしているのかと思うと本当に情けなく悲しくなります。 

1989年にこの作品は生まれたのですが、本質は、全く変わっていないということですね。
むしろ、もっと質が悪くなっている今、私たちは自分でしっかりと見、聴き、考え、想い、声を上げていかなくてはいけないのでしょう。
人は、誰でも想像する力があります。もっともっと想像しましょう。

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