シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。
シナリオ・センター代表の小林です。冷たい雨です。それでも春の雨というとやさしく感じるのはなぜでしょう。春には、花の雨という季語もあります。
通信作家集団の紀本直美さんが、俳句集を創りました。
イラストは、絵本作家の堀内誠一さん。
「紀本直美・俳句集 さくさくさくらミルフィーユ」(創風社出版刊)です。
「どの道もさくさくさくらミルフィーユ」から題名を取られています。
いくつか私が気に入った俳句をご紹介したいと思います。
「したいのとするの間に天の川」
夜空を見上げて、ふかーくため息がでます。
私の場合、とてつもなく深くて大きな天の川です。
「天高く今日からわたし世帯主」
秋空はどこまでも高く、青く。頑張るぞ!
涙なんてみせないよ。別れもすっきりです。
「せつないっていいことばだねほんと冬」
うん、せつない(涙)コタツで丸くなってじーっとしている私。
「冷たいと一度試しにいってみな」
あなたの背中はとてつもなく遠くて・・・つらい。
「雪女一瞬なってしまった」
あっ、その瞬間、私もあります。
「春動くすぐ来年がきてしまう」
4月8週間講座のチューター山﨑もブログで言っておりました。
今年もあと9ヶ月しかないよって。
「くたくたのすててこ祖父のぬけがらか」
縁側のひだまり、やさしく柳の新芽が揺れる。
まだ、暖かさが感じられるぬけがらです。
「世の中を変える温度で狂い咲き」
満開の桜、ゆれる雪洞の明かり。
今日日の桜は、人の心も狂わせます。
「おでんたべいとこんにゃくな縁切れず」
お皿に残るいとこんを、ただただ箸で突っついてる・・・ちょっと深呼吸したい。
何もしゃべれないまま。
紀本さんの句から、勝手にドラマが浮かんできました。情景がみえるようです。まさにシナリオですね。
俳句、五七五、十七文字の短い中に、ドラマがあるんですね。人が生きているんですね。
短歌の俵万智さん的な感じの、すーっと心に入ってくるやさしい俳句です。
ひらがなが大好きで、音(ひらがな)で感じるという紀本さんならではの発想だなあって思いました。
ひらがなのあったかいやさしさも紀本さんの句も好きです。
シナリオ・センターのホームページがリニューアルして、「表参道シナリオ日記」もそちらから見れますので、お気に入りに入れてください。http://scenario.co.jp/diary/
よろしくお願いします。